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君と僕    2008 / 02 / 11 ( Mon )
 「何をしているの?」
  誰もいない教室で僕は彼女に尋ねた。

  





 君と僕 a




 「八つ当たり」
 彼女は素っ気なく答えた。
彼女の手は学校の白いトイレットペーパーをちぎっては窓の外の夕日の中へ投げている。
「どうして其れが八つ当たりになるの?」
「心が落ち着くから」
「何か嫌なことがあった?」
「此の世界の全てが憎らしい」
 脇目も振らずに紙をちぎり、空気に抗うように振りかぶっては投げている。
「何が憎いの?」
「この汚らしい世界に決まってんじゃん」
 僕は窓の外へ目を遣った。
沈む夕日は青かった空を紅い絵の具に滲ませるように染めあげ、溶けるように消える太陽はとても眩しい。
「ふうん。君の感性を否定する訳じゃないけど、世間一般に此れは綺麗というんじゃないかな」
「知ったこと」
 一段と大きく振りかぶり、放たれる丸められた紙は夕日に染まり花のようにひらひらと地面へと舞い堕ちる。
一体誰が掃除するのだろう。
「此の世界、濁った空に歪んだ雲。いびつな木々。全然左右対称じゃないし、線対称でもない」
「自然のものに均整を求めるんだ?」
「当然。あの木の幹何て、立派な対称軸になりそうな感じでしょ」
「君って、定規とか好き?」
「何で」
「何となく」
「別に。図形を描く時くらいしか使わないし」
「ふうん」
「こうしていたら、何時か世界が真っ白になるんじゃないかと思わない?全くの幻想だけど」
「さあ、夏場から吹雪にでもなればそんな素敵な考えも浮かぶかもしれないね」
「貴方って夢無い」
「現実主義者と言って欲しい所だね」
 彼女はトイレットペーパーの芯を投げると、少し高い所に視線を上げた。
「現実って、当たり前のものが当たり前すぎて退屈じゃない?何か飽きる」
「僕はそれなりに楽しいよ。人間の卑猥さと多様性は見ていて飽きない」
「私の聞き間違い?それって退屈って聞こえるんだけど」
「さあ、どうだろうね」
 彼女はついと僕を見遣ると、盛大な溜め息をついた。
「あのさ、私ずっと思い続ければいつかは叶うって希望抱いてたりしたんだけど、ほら、小さいとき大人ってそう言う無責任なこと言うでしょ。どうせいつかは解るから子供のうちだけはって感じで。私其れが嫌いでさ、ぜってー何時か叶えてやるって思ってたんだよ。ってゆーかさ、学力低下?今の日本人て奇抜性に欠けてるし、基本に忠実で保守的すぎてつまらないんだよね。小泉だかなんだかが、郵政民営化とか目指して頑張っちゃってるけどさ、どうせなら戦争をなくす為に世界統一しますとか言えば良いのに。その暁には徹底的な現代の刀狩りみたいな。でもそんなこと言ったらいろんな連中から反感買って、政府にさえいられなくなるんでしょ。異分子を排除?くそくらえ、つまんねえよ。だから常に攻めの姿勢がポリシー。だけどさ、決定的に出来ないもんってあるじゃん。例えば、其処の黒板に“Be can fly”と書いた所で其れが叶う訳無いんだよね。私の脚が此の床から離れる訳じゃないし、此の窓から飛び立つ訳じゃない。だからやり方に路線変更を考えた。何だと思う?」
「さあ、興味深いけど君とは思考回路が全く噛み合ないみたいだから。解らないな」
「そ。じゃぁ、教えてあげる」
 彼女は窓に片足を掛けた。
一度吹いた風に長い髪がはらりと広がり、斜陽にきらきらと光った。
「この世界で思い通りになることがあるんだと、証明するの」
 きらきらと光った。



 僕は視線を下へ落とす。
眼下には白いばらまかれた紙の上に広がるように崩れた姿があった。
崩れた彼女は白い紙を紅く紅く染め上げて、暗くなり始めた夕日の中で尚紅く美しかった。
やっぱり世界は此れくらいが綺麗だよ。
僕は独り呟いて、紅く滲んだ教室を後にした。









 



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