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 未分類:0 放置プレイ中:3 オリジナル:7 マリア様がみてる:7 リリカルなのは:5
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無題    2008 / 02 / 13 ( Wed )
マリア様がみてるから携帯で書き溜めたネタ。
蓉子の俄雨から始まる三部作の連作形式のつもりで書いていました。未完シリーズ聖視点。

教師の奏でるチョークのかつかつという音が子守り歌のように眠気を誘う。欠伸を噛み殺し目を遣れば、蓉子が重たげに睫を下向かせ憂鬱そうに教科書を閉じては思い直したように広げるという彼女にしては珍しいことを繰り返している。余りに奇異に映った所為だろうか、蛇行する川を思い出す。曲がりくねる水の流れは何処へ向かうのか。
その先を目で追っていると、ふと蓉子は目が覚めたかのように席を立つ。回りはノートをとるのに必死なのか彼女の奇矯を気に留める様子がない。蓉子は私に何か言うときのあの鬱陶しいほどに生真面目な目をしながら窓の外を睨みつけた。何と無くその様をみていると、蓉子は唐突に教室の窓を開け放つ。夏の暑い風がなだれ込み、頬を一撫ですると背後に溶け込むよう霧散する。風に委ねるまま、表情の読み取れない蓉子の背は一瞬にして窓の外へ飲み込まれ

 ぎょっとした私はそこで目を覚ます。改めて蓉子の方へと目を遣れば、彼女は相変わらず沈んだ顔で空を眺めている。
いつの間にか退屈な教師の与太話に嫌気が差したらしい、あらがい難い眠気に束の間意識を拐されたようだ。
夢の中の蓉子は一体何をしたかったのだろう。授業から大分遠い道に迷い込んだ教師の寄り道は鳴り響く就業の鐘にようやく帰り道を思い出した。




 薔薇の館。斜陽の射すその部屋で暗くなり始めた深紅の世界の中漂いながら、赤い陽光からいれたかのような紅茶を江利子は傾け至極つまらなそうにぽつりと溢す。
「デジャ・ビュって感じたことある?」
何と無く彼女を眺めていた私に、赤茶けた染みがぽつぽつとにじむ。
「何よ、いきなりね。」
今に始まったことじゃないけど。そう付け加えて。
「そうね。...世間一般で言うデジャ・ヴュって実際どうなのかしら、て思ったのよ。」
本当に何の前触れもない。
私は肩を小さくすくめ、「さあね」と答えた。
「初めてみる筈の物が過去に見たことがあるように感じるっていう記憶の錯覚でしょ?」
「ええ。でもデジャ・ヴュって何を指して言うのかしら」
風景に触れて感じる既視感。その時いつとも分からない過去の自分はいつか又同じような風景を見て同じように感じるのだろうと考えていたことまで思い出す。今まで全く忘れていたのに、その時になって思い出してその確認をするのよ。
「鏡を見ているような気分になるわ。」
江利子はそう締め括ると促すように紅い液体から私へ目を向けた。
生憎そんな些細なことを真面目に捉えたこともその感覚を深く鑑みたことも無い。
ただ漠然とそうだと思っていただけでさしたる興味もなかった。「過去と現在を繋げているみたいね」
話の印象を述べてみるが、言葉を選ばなかった所為かそれは些か夢み勝ちに聞こえた。
「面白いわね」
 それを揶揄するでも無く、江利子は感心したような興味深そうな顔をした。
差し詰め現実主義者に観察されるモルモット。
江利子に良いように遊ばれている気がして眉をしかめた。
「それぞれの時間は一直線ではなくて平行して進んでいるならそれも可能になるのかしら」
 両肘をつくと優雅に指先を組み、江利子は白いテーブルクロスに目を落とした。
「タイムマシンでもつくるつもり?」
 形而上の空論に水を差し向けると、江利子は「それも面白いわ」と目を細めた。
要は面白ければ何でも良いのか。私は半ば呆れの混ざる諦念に目眩がした。
案外、二十二世紀の猫型ロボットは彼女が創るのかも知れない。
未来の行く末を案じながら杞憂に終らないのかも知れないのが江利子だ。変化球の使いどころを良く心得ている。彼女なら、どうせベースボールだろうと何だろうと人並み以上にこなすのだろうが。
「時間、ね。実際に過ぎている時間は変わりないのに、体感時間が異なるのは何故かしら」
「参考文献でも開けば?」
「そんなものに興味は無いわ」
「タイムマシンを作るのは科学力でしょ?それってメタフィジカルの話じゃない」
「精神世界を科学で扱うことくらいできなければ、体感できても触れられないなんて掴みどころのないもの、フィジカルで操れるわけ無いでしょ?」
「そりゃ...でもそれって、肉体があるから宿るものでしょ。切り放すなんて無理よ。
だいたい、人間は肉体を介して精神に影響を及ぼすくらいしか出来なくない?カウンセリングや暗示とかは個人差があるし限度もあるわ」
 視界の隅で風に煽られ白いカーテンが翻る。江利子はカップを口許で傾け受け皿に戻すと、湿った唇を綺麗に歪めた。
 まるで人間は空を飛べないといっているみたいね。
「ねぇ、空を飛びたいと思ったことある?」
 江利子がこちらへ顔を向け、斜陽の光を目に湛え、その光を溢れさせないよう目を細めては意地悪く微笑んだ。
背後に広がる空を切り取った窓は江利子の瞳に茜を注ぎ、それを目にした時、何故かうすら寒い思いをした。
飛行機で十分よ。
不意に口を衝いた言葉は知らぬ人の言葉のように私を嘲った。

特に意識せずとも進む、歩き慣れた道の先、白いマリア像の前で切り揃えられた黒髪が揺れていた。手を合わせる仕草はとても馴染み毎日のようにその所作をしていることを伺わせる。
純粋培養の子羊。
そっと冷えたものを心臓へ纏わせた。
まだここが檻の中であることを思いだし急に窮屈さを覚えそこを一刻も早く抜けだそうとそのままのペースで歩み続けた。
「聖」
その声が届いたとき、酷く鬱陶しく不機嫌に「何」と目線だけを向け応じた。目の端で蓉子は良く分からない複雑な顔をしていた。





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