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 未分類:0 放置プレイ中:3 オリジナル:7 マリア様がみてる:7 リリカルなのは:5
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冥土さん。    2008 / 02 / 11 ( Mon )
HDD内未完ものサルベージ。

某マリみてSSサイト様の某メイド企画のSSが面白かったので。
どのSSも良かったですよ、あれは。今思い出しても素晴らしいですよ。


と、そんな感じで暇つぶしに書いたまま放置プレイ。プロットは出来てるんですけれども。
 荘厳な造りの白薔薇の個人邸宅である通称薔薇の館と呼ばれる此の屋敷。奉仕するうら若き乙女達を束ねる身である水野蓉子は音高く靴を踏みならし、その荘厳さの象徴のひとつでもある紅い絨毯の導く緩やかに弧を描いた螺旋階段を堕ちる様に駆け下りた。
後、何分だろうか。その腕には質粗ながら高価な装飾のあしらわれた時計が天井のシャンデリアにきらりと光るが、其れを見る間も惜しみ軽く摘んだ白いレースの裾を翻し、脇目も振らずに走る様は普段の彼女からは伺い知れない程、年相応に幼く見える。
階段を下りきると即座に奥へと身を翻し、両開きの扉を開け放った。

 「ご主人様!」

 慌てた様子であっても、其のきびきびとした声は健在であるらしい。
部屋の中には閉め切られたカーテンから漏れる陽光を受ける、華やかな寝台が置かれている。蓉子はつかつかと其処へ歩み寄ると、失礼しますと申し訳程度に一声掛け、天蓋をはねのけると一息に掛け布団を剥ぎ取った。
ふわふわとした羽毛の入った其の下から、不服そうなうめき声が顔を出す。
「何よ、蓉子。御呼ばれされたのは、夕刻の筈でしょ?」
 枕を抱えたまま、色素の薄い髪をだらしなく掻く主人の痴態を蓉子は横目で見遣りながら部屋のカーテンを開け放った。
其の光に部屋の主が、目を細める。
「ええ、間違いありませんわ。ですが、急な御一報がありまして侯爵の御要望により今日の昼にあらかじめ顔合わせしたいとの事です。」
 蓉子が腕を休める事無くすらすらと話すのを聞きながら、聖は不機嫌に顔をしかめた。
「えー、やだよあの親父。何か色目使ってくるし。」
「それも仕事のうちです。」
 冷ややかに言うと、部屋を後にすべく開け放されたままの扉へと向かう。
「それでは、私は他の仕事が御座いますので失礼致しますが」
蓉子はドアノブに手をかけながらついと振り返り、朝食は用意出来ていますので、お早めに御願い致しますと言い置くと、今度こそばたんと扉を閉めた。



 「ほんと、こういうとき寝室一階にして良かったと思うよ。」
 そんな事を言いながら聖は朝食の席へと着いた。
元々聖の寝室は上階の奥にあったのだが以前宴の帰りに泥酔した聖が階段の上り下りが億劫だとの事で、急遽一階の最も広い客間を聖の寝室に挿げ替えたのだ。
丁度其処は厨房と食堂が隣接しており、今まで此の広い屋敷を往復していた手間を省く事が出来たと聖自身は喜んでいたが、雑務や仕事、用事の伝達に事務室から走る事になってしまった蓉子には気の毒だとしか言いようが無い。今朝も、一報を受けてからというもの蓉子は聖を起こしてから午後に届く筈であった筈だった服を態々仕立て屋に出向いてまで取りに行っている。気の毒だと思う反面、其れをさせたのは自分であり其れを楽しんでいる節さえある事を聖は十二分に理解していた。
「さて、今日の朝食は?」
 横に控えたのはコックを兼任する執事の令である。執事という役職が与えられて入るが若年の所為もあり、庶務の殆どは蓉子の仕事となっていた。普段は同い年の祥子と他のメイドの家事の監督を行っているが、最近は、慣れてきたのか監督するまでもなく彼女たちは順調に雑務を片付けている。其の為、実質令は専属コックと言って良かった。
 しかし、外見とは裏腹の女性的な繊細な盛りつけと味は舌の肥えた数々の貴族を唸らせてきた。最近、又腕が上がった様だ。暇さえあれば街に出て食材を探すついでに様々な店の味を吟味し、研究しているらしい。おそらくは其の成果だろう。
 令が長い名称の連なりを淀み無く答える。
聖は、さして興味も無い内容に満足げに頷くと、それぞれナイフとフォークを握った。
何であっても、舌を満足させるに足る物である事は自明の理であったからだ。


 
 知らず、口からは重い溜め息が零れた。
この館に奉仕するようになってから約4ヶ月目になる福沢祐巳は、古びたモップの先端を、プロペラのようにくるくると回しながら階段の隅に腰掛けていた。
一階から三階まで吹き抜けとなっている此の館のエントランスは見る物を圧倒する気品と優美さを誇るけれど、其れと比例する様に其の広さも半端ではない。
眼下に広がる大理石の床には、建物の陰影が水鏡の様に映り込み暗紅の絨毯が一筋、たゆたう様に続いている。その中心には反射したきらびやかなシャンデリアが大理石から煌煌と覗き息をのむような美しさだけれど、其れも今は祐巳をより一層暗鬱な気分にさせる物にしかならなかった。
    
     今日は、ここの掃除をして頂戴。其れ以外は何もしなくて良いわ。

 祥子の気遣いは嬉しかったが、ここを掃除する事に酷く骨を折るであろう事には変わりない。
もしかすると、普段の倍以上の労働になるかもしれないと思うと、力なく肩を落とす他無かった。
「ゆーみちゃん」
「ぎゃ・・・っ」
 今しがた落としたばかりの肩を背後から抱きすくめられ、口から漏れた奇怪な声にあわてて自分の口を塞いだ。祥子に聞き咎められては毎日のように注意されている身としては立つ瀬が無い。
振り仰げば、其処には予想と違わずにやけた主人の顔があった。
「こんな所で何してるの?祥子は?」
 咎めているような口調ではないけれど、何処となく肩身が狭い。
「ええと、此れからここを掃除する所で、祥子さまは多分今頃シーツのお取り替えをしている頃かと」
 4ヶ月経っても未だに慣れない奇襲に、頬を強張らせたまま祐巳はしどろもどろに答えた。
すると、主人は口元をにやけさせたまま満足げに頷く。
「ふうん。じゃあ今日は祥子のヒスを聞くこと無く祐巳ちゃんを戯れていられる訳か。うん。よきかなよきかな。」
 よきかなは其処で遣うものかと首を傾げながらも一層強く抱きつきながら言う物だから、祐巳の項に其の息がかかりくすぐったいことこの上ない。
むず痒さに身を震わせると、何を勘違いしたか主人は首筋に生暖かい物を這わせ、其れが舌だと気付くまでにどれほどの時間を要したかは解らなかったけれど体中が泡立ったのは確かだ。
「んん?祐巳ちゃんは首筋が感じるようだね。覚えておこう」
 祐巳の背中で訳の解らないことを言っているうちに、正面の扉が音を立てて開いた。
「その辺にしておいて下さらないかしら?ここのホールは声が響くので、祥子が眉を逆立ててくるのも時間の問題かと思います。」
 其処に揶揄するように蓉子様が其の声を響かせた。成る程、ここから玄関口まではかなりの距離があると言うのに確かに良く響く。
「なーにー蓉子、ヤキモチ?遠回しにしちゃって。ベッドの上じゃあんなに素直なのに。」
 祐巳の視力はどちらかと言えば良い。だから離れた玄関口で其の泰然とした表情が一変し、紅く紅潮するのが良く見て取れた。
「ぃ・・・今ここでそんな話をなさらないで下さい!」
 滅多に聞かない狼狽も露な怒声がホールに響きぐわんぐわんと反響し、余韻をひいた。何か、蓉子様可愛い・・・。不謹慎に祐巳は心中でつぶやいた。
「それに。祥子は今頃テラスで洗濯物を干してるわよ。あの量だと当分こっちには来ないんじゃない?」
 数分前に、祥子は?何て聞いておきながら白々しく言うのだ、この人は。
「それでも!いくらご主人様とはいえ、仕事の邪魔をするというのは頂けませんが?」
 あの状態でも反論出来る蓉子様って凄いなぁと、妙な所で感心する。
「だって。祐巳ちゃんがあんまり頑張っていた物だから休憩させてあげないとって思ってさ。」
 其れは、違う。咄嗟に否定しかけ数瞬後でさぼっていたことを隠してくれているのだと気付いたけれど、ねー?なんて小首を傾げて聞いてくることも無いと思う。
そして根負けしたように、大きな溜め息をつくと蓉子様は絨毯を渡ってこちらへと上ってくる。其の手には、一抱え程もある大きな荷物があった。
「手伝いますか?」
 祐巳が慌てて駆け寄るが蓉子は其れを断り、見た目程重くは無いのよと付け加えた。
「何なんですか?それ」
 好奇心に駆られて祐巳が問うと、其れには答えず蓉子は仕立て屋からよと言った。主人の今夜のドレスらしい。
「全く、何で当日に予定を変えるのかしら。準備する身にもなって欲しいわ」
 蓉子は小言を言いながら、ずんずんと階段を上った。
 角にその後ろ姿が消えたかと思うと、間もなくばたんと音を立ててドアが閉まる音が聞こえる。
祐巳が思わず身をすくませ、主人が角を見遣ったまま色素の薄い髪を掻く。
「ありゃ、何か気に触るようなことやったかな?」
 とぼけた口調で言いながら、彼女は本当は解っているんじゃないかと祐巳は思った。



 玄関扉が荒々しく開かれた。
其の音に祐巳は身をすくませ、それは今日で何度目だろうと考える。
しかし、入ってきたのは慮外にも主人だった。何時も飄々としている彼女が肩を怒らせて歩くのは珍しい。
其れに今はパーティーに行っている時間ではなかったのだろうか。祐巳は内心首を傾げつつ一言も喋らないその後ろ姿を見遣った。
「祐巳ちゃん」
 背後から呼ばれ、振り向くと主人を追うように扉を入ってきた蓉子がいた。彼女も付き添いということで出掛けていたのだ。
「何でしょうか」
 小走りに駆け寄ると、すれ違い様に蓉子は誰も部屋に入れないでと言った。
祐巳が頷くと、蓉子は微かに微笑みそのまま主人の消えた角へと身を躍らせた。
  何があったのだろう。
 祐巳は沸き上がる不安を感じた。
  あんな表情の蓉子を見たのははじめてだ。



  あんな表情の聖を見たのははじめてだ。
 蓉子は、一心にその後ろ姿を追った。
 やはり、あれは未だタブーなのだ。
 聖があんなにも、今にも壊れそうな程感情を剥き出しにしている。
 あの時、はじめ何が起こったのか解らなかった。

 唐突に硝子の割れる音が辺りに飛び散り、振り向けば怒りを露にした聖が椅子を蹴り倒し立っていた。
少し目を離した隙に侯爵に何かを言われたらしく、その内容は聞き取れなかったが其の後の聖の怒声だけでおおよそのことは理解出来た。
 何てことを。
蓉子は内心毒づいた。
あの壮年の侯爵のにやついた顔が憎らしい。気が付いた時には蓉子は其の顔を音高く叩いていた。


 何度か呼びかけるが、聖の歩みは留まることを知らない。
「聖!」
 無駄とは知りつつも呼びかけずにはいられなかった。
こんな時、口を出るのは敬称ではなく呼び捨ての名前であるのはやはり未だ使える身としての自覚が足りないからだろうか。
このまま入水でもしてしまうのではないかと思える程、彼女の背中は悲愴感を纏っていた。
小石に躓き転びそうになる。
踵の高い靴は走るのに適していない。蓉子は痛む脚を引きずるように其の背を追った。
シンデレラの如く靴を落とした所で、拾う者等いないのだ。
蓉子は下唇を感覚が無くなる程強く噛み、其の背を追い続けた。

 部屋の扉の前にたどり着く。
肩で息をしながら、蓉子はドアノブに手を伸ばす。
其の手は、唐突に力なく落ちた。
 私に何が出来るのだろう。
不意に、ここに来て蓉子は不安になる。此れは彼女の問題だ。
私の役目は、もう終わったのではないだろうか。
目の前のドアノブが触れてはいけないような気がしてならない。
 けれど、
蓉子は思い直す。
このまま聖を放っておくことが自分に出来るだろうか。
答えは否。どうせ、世話焼きな性分の自分は無遠慮に入っていってしまう。
葛藤は一瞬。蓉子は一つ小さく頷くと、其の扉を開けた。
 そこは昇りかけた月の窓から差し込む青白い光がぼんやりと満たしていた。
薄暗い闇が其処此処に染みる部屋で縋るようにベッドに突っ伏した其の姿を寸瞬と待たずに見つけた。
蓉子は静かに絨毯を踏みしめて歩み寄ると、その肩の儚さに眉根を寄せた。
 スカートに皺が寄らないよう手で押さえると聖の隣に膝をつき、肩甲骨の滑らかなおうとつに手を添える。
ドレスのデザイン上露になった肌から直に体温が伝わる。其の小刻みな震えさえも。
 蓉子は、じいと其の様子を眺めていたがやがて一つ、溜め息をついた。
貴方、何時も何か嫌なことがあると人の話を聞かなかったわね。
心の内でそう呟き、蓉子は見つからない言葉を選んだ。
「・・・聖」
 ただ、意味も無く口に出た呼び掛けに見た目では分からなかったけれど掌の下で小さく動くのが分かった。
 僅かに開いた窓から、青白い夜風が滑り込む。それにのせるように、その声は届いた。
「・・・  忘れてなんかいないわ。あの親父が、蒸し返すから」
 それはか細く、ともすればシーツに埋もれてくぐもったまま消えてしまいそうで、蓉子は注意深く耳を澄ませた。
「栞と、私のことに、土足で踏み込むような真似をするから、いけないのよ」
 聖の独白はまるで絞り出すかのよう。
蓉子は、静かに口を噤んだ。これ以上何も言ってはならないような気がした。 
 沈黙の帳が落ち、しんと静かな空気が流れた。未だ揺れるカーテンの僅かなはためきが慎ましい風の存在を知らせる。
余りにも静かで蓉子は時間の感覚が薄れてゆくのを感じ、無意識に時計の音を探していることに気付く。聖が時計という物を好まない性質なので此の部屋には一切の時を告げる物は無く、秒針の刻む音も無い。
其の聖の行動を補佐する為に何時も付けている腕時計は、今日は聖の付き添いということでドレスに着替えていた為、外されている。蓉子は、聖の月明かりに仄かに光る其の髪を見詰めながら、このまま全てが止まってしまうような気がした。





 蓉子が目を覚ますと、見慣れない天井が目に入った。
鈍い頭を抑え、幾度か目を瞬き身を起こすとそこが聖の寝室である事を知った。
そこではたと脳が回る。
「・・・聖?」
 何時の間にかベッドで寝入ってしまったらしい、気恥ずかしさを紛らわせる様に蓉子は主の姿を探した。しかしそれに応えるのは依然沈黙する家具ばかりで求める姿は見当たらない。悪い予感がよぎる。
不安と焦燥が込み上げ、蓉子は思わず身を震わせた。
「 せい 」
夢の中で足を踏み外したような恐怖にすくむ体を奮い立たせ、蓉子は颯と立ち上がり転がる様に部屋から駆け出した。
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